在来作物とは
在来作物(ざいらいさくもつ)とは「ある地域で、世代を越えて、栽培者によって種苗の保存が続けられ、特定の用途に供されてきた作物」です。親から子へ、子から孫へ、代々にわたり採種(タネをとること)の方法、さらにはイモの保存方法といった種苗の保存のノウハウ、焼き畑のような昔ながらの農法とともに、地域や農家に受け継がれてきた作物です。そのことから「生きた文化財」とも言われ、地域の知的財産として見直しが始まっています。山形県には160品目以上の在来作物が確認されています。山形県の冬は長いことから、冬場の食料を補う在来作物としてカブや大根、芋、豆等が受け継がれてきました。
一方で最近の調査によると、この数十年で30品目以上消失していることが判明しています。品種改良された野菜に比べ、日持ちや品質のそろいがよくないので、市場から敬遠されがちなことや、生産性や収益性が低いことなどがあります。さらに在来作物の栽培者のほとんどが70歳以上です。このまま後継者が現れなければ、あと10年くらいのうちに在来作物の多くは失われてしまう可能性がきわめて高いと言われています。在来作物とともに、伝え継がれてきた地域固有の知的財産を保存していくために、今何をすべきかを考えていく必要があります。